日本ではあまり「ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス London School of Economics」の知名度は高くないようだ。名前を言うと、経済学の単科大学だと思われてしまうことも多い。「どうしてそこで人類学を?(ってか、そもそも人類学って何さ?)」というわけだ。一方で、最近日本でも LSE を紹介する書籍(「LSE物語―現代イギリス経済学者たちの熱き戦い」)があり、ハイエクやラスキが教鞭をとった大学として一部では知名度は上がりつつあるようだ。説明する手間が省けるので、知名度がより上がってくれるとありがたいのだが…

この大学の正式名称は London School of Economics and Political Science で、直訳すれば「ロンドン経済学および政治科学学院」だ。1895年にフェビアン協会の面々によって設立された歴史から経済学的研究をその根幹に据えてはいるが、二十世紀すぐにロンドン大学連合に加入してから哲学や政治学、社会学なども扱い出し、現在では社会科学全般を扱っている。人類学もそのうちの一つで、英国人類学に最も大きな影響を与えたマリノフスキーは LSE の出身だ。2008年に行われた調査によれば、 LSE の人類学は「世界トップランク」と評価された研究者の割合が 40% で最も多い(RAE 2008 Anthropology)。そのほか経済学はもちろん、社会科学哲学やヨーロッパ研究、法学、政策学などでもトップ。

という訳で、決して経済学の単科大学ではないのだ。ただし、社会科学に関連するディシプリンのみを扱っているため、理系の分野は存在しない。対照的に理系のみを扱っているのが Imperial College London だ。

ちなみに LSE はロンドン大学に所属している。この University of London という機関は実のところ、様々な大学から構成されているひとつの連合であって、「ロンドン大学」という実体がある訳ではない。夏目漱石などが留学した University College London もこの連合に所属している。この大学には、最近では小泉純一郎なども在籍していたことがあり(卒業はしていないようだが)、日本との関わりもずいぶんと深い。
これくらい知っておいても損はないだろう。説明が面倒なときは「ロンドン大学です」というが、そこで「ロンドン大学のどこ?」と返してくる人は殆どいない。

「なぜ人類学か」ということも、書いていかなければならないのだろうな。