ディプロマシーは、20世紀初頭の欧州亜大陸を舞台に、7つの帝国がその覇権をめぐり争う、交渉を中核に据えた戦略級ボードゲームである。内政の様相は軍隊の生産・消滅及び移動などの命令のみで、ゲームの勝敗の殆どは外交によって成立する。ここでは、その Avalon Hill 版ディプロマシー第四版の最後のページに有る22のルールを簡単に説明する。

1. すべてのユニットは等しく同じ力を持っている。

これは言わずもがなである。

2. ひとつの領域のなかには一度にひとつのユニットしか存在できない。

これも自明であろう。

3. 複数の同じ力を持ったユニットがひとつの領域を占領しようとしている場合、それらのユニットはすべて元いた領域に留まる。

いわゆるスタンドオフのことだ。

4. スタンドオフは、それが発生した領域を既に占領しているユニットをそこから追放しない。

ここからは、説明が必要になってくるかもしれない。例えば以下の様な場合。

  • French F Bre – Eng
  • English F Lon – Eng
  • German F Eng Holds

French F Bre と English F Lon はルール3によって、German F Eng はルール4によって、それぞれの場所に留まる。

5. 移動を行っていないあるユニットは、他の複数のユニットによる移動の系列を阻止することができる。

例えば以下の様な場合。

  • French A Mar – Bur
  • German A Mun – Bur
  • Austrian A Tyr – Mun
  • Italian A Ven – Tyr

French A Mar と German A Mun はルール3によって、Austrian A Tyr と Italian A Ven はルール5によって、それぞれの場所に留まる。

6. 輸送の利用なくして、複数のユニットは場所を交換することができない。

例えば次のような場合。

  • Italian A Ven – Tri
  • Austrian A Tri – Ven

ルール6によって、Italian A Ven も Austrian A Tri もそれぞれの場所に留まる。

7. 3つ以上のユニットは、直接的な場所の交換が発生しない限り、それぞれの移動によって領域を回し合うことができる。

例えば次のような場合。

  • Austrian A Tri – Bud
  • Austrian A Bud – Vie
  • Austrian A Vie – Tri

すべての移動が成功することを、ルール7は明確化する。

pre-8. あるユニットは、それが移動可能な領域に対してのみ、支援を行うことができる。移動に対する支援は、支援している移動の目的地が、支援を行っているユニットが移動可能な領域で無くてはならない。

これは「22のルール」には入っていないが、忘れがちなことである。このルールにより、自殺的支援は不可能になる。すなわち、

  • Russian A StP – Mos
  • Russian A Mos S Stp – Mos

は不可能。

8. 移動を命令されていないユニットは、その領域のみを示している支援命令によって支援されることができる。

例えば次のような場合。

  • Italian F Ion Holds
  • Italian F Tun S Ion
  • Turkish F Eas S Ion – Aeg

Italian F Tun による支援は成功するが、Turkish F Eas による支援は成功しない。この際、Italian F Ion が輸送を行っていても支援を行っていても、Italian F Tun による支援は成功する。

9. 移動を命令されているユニットは、その移動を示している支援命令によって支援されることができる。

例えば次のような場合。

  • Italian F Ion – Aeg
  • Italian F Tun S Ion
  • Turkish F Eas S Ion – Aeg

Italian F Tun による支援は成功しないが、Turkish F Eas による支援は成功する。

10. 追放されたユニットは、それを追放したユニットがやってきた領域以外への移動を行っていた場合、スタンドオフを発生させることができる。

例えば以下の様な場合。

  • Turkish A Ank – Arm
  • Russian A Sev – Arm
  • Russian F Bla – Ank
  • Italian A Smy S Bla – Ank

こういった場合、Turkish A Ank は敗北し、追放されるが、Arm でスタンドオフを発生させることはできる。

11. 追放されたユニットは、それを追放したユニットがやってきた領域に対して、支援があったとしても、そこへ移動する事ができない。

例えば以下の様な場合。

  • Russian A Rum – Bul
  • Turkish A Bul – Rum
  • Turkish F Bla S Bul – Rum
  • Austrian A Ser S Rum – Bul
  • Italian A Gre S Rum – Bul

Russian A Rum – Bul は、Austrian A Ser と Italian A Gre の支援を受けて戦力3であり、Turkish A Bul を追放する。Turkish A Bul はこの際、Rum へ移動することはできないし、そこへ撤退することもできない。

12. あるユニットは、同じ国に属するユニットを追放することができない。また、あるユニットは、同じ国に属するユニットを追放するような攻撃を支援することができない。

例えば以下の様な場合。

  • Turkish A Bul S Ser – Rum
  • Austrian A Ser – Rum
  • Austrian A Rum – Gal
  • Russian A Ukr – Gal

Austrian A Rum と Russian A Ukr はスタンドオフである。Turkish A Bul の支援があるので、Austrian A Ser – Rum は成功するように見えるが、これは結果として自国軍である Austrian A Rum を追放してしまうので、無効となる。

また、以下の様な場合。

  • Turkish A Bul – Ser
  • Austrian A Ser Holds
  • Austrian A Rum S Bul – Ser

この Austrian A Rum の支援は無効であり、戦力に数えない。結果として自国軍である Austrian A Ser が追放される形になってしまうからだ。

13. 支援は、支援を行っているユニットが、支援対象の領域以外から攻撃された場合、断ち切られる。

これはわかりやすいだろう。ただし、後半に注意。例えば以下の様な場合。

  • Turkish A Bul – Rum
  • Austrian A Ser – Bul
  • Austrian A Rum S Ser – Bul

この場合、Turkish A Bul の移動により、Austrian A Rum の支援は断ち切られるように見えるが、実のところ、Bul は支援対象の領域であるので、後段の例外が有効になり、断ち切られることはない。結果として、Austrian A Ser の移動が成功する。

14. 支援は、支援を行っているユニットが追放された場合、断ち切られる。

これはどこからの移動でも変わることはない。つまり、

  • Turkish A Bul – Rum
  • Turkish F Bla S Bul – Rum
  • Turkish A Con – Bul
  • Austrian A Ser – Bul
  • Austrian A Rum S Ser – Bul

この場合、トルコは Bul のスタンドオフに成功すると同時に、Rum を得る。

15. ある領域から追放されているユニットは、他の領域において支援を断ち切ることができる。

これは直感的にわかりやすいだろう。ルールと同じ例を用いれば、

  • German A Ber Holds
  • German A Mun – Sil
  • Russian A Pru – Ber
  • Russian A Sil S Pru – Ber
  • Russian A Boh – Mun
  • Russian A Tyr S Boh – Mun

Russian A Boh によって German A Mun は追放されるが、それでもなお、Russian A Sil の支援を断ち切ることはでき、結果として German A Ber は防衛される。

16. 支援は、支援を行っているユニットと同じ国が保有するユニットによっては、断ち切られない。

この点は注意しておこう。自国の支援は、自国軍によっては断ち切られることがない。自国軍が占領している領域への移動は、「攻撃」とはみなされないのである。

17. 輸送に必要な海軍の追放は、輸送を失敗させる。

支援と異なり、単に攻撃されるだけでは失敗しないことに注意。

18. 輸送先の領域でスタンドオフが発生するような陸軍の輸送では、陸軍は元いた領域に残留する。

厳密に輸送を成功させたければ、支援を伴うべきである。

19. どちらかあるいは両方のユニットが海軍によって輸送されている場合、ふたつのユニットはその占領している領域を交換できる。これはルール6の例外である。

ルール6と同じ例を用いれば、

  • Italian A Ven – Tri
  • Austrian A Tri – Ven
  • Turkish F Adr C Ven – Tri

スタンドオフにするつもりが、トルコの茶目っ気によって場所を交換してしまった。

20. 複数の輸送ルートによって輸送されている陸軍は、少なくともひとつの輸送ルートが成功している限り、輸送される。

これは直感的にわかりやすいと思う。

21. 輸送された陸軍は、それを輸送するために必要な海軍に対する攻撃の支援を断ち切ることができない。これはルール13に優先する。

これはかなりややこしい状況である。例えば、

  • Russian A Nwy – Edi
  • Russian F Nth C Nwy – Edi
  • English F Edi S Yor – Nth
  • English F Yor – Nth

このような場合、ふたつの事象が同時に発生する。すなわち、

  • Russian F Nth の輸送は、English F Yor からの戦力2の攻撃によって中断される。
  • しかし、同時に、English F Edi からの支援は、Russian A Nwy の輸送によって断ち切られ、攻撃は失敗する。

ルール的には、どちらを優先的に解決するかは、ルール20まででは決定されない。よって、このルールが要請され、支援は断ち切られず、結果的に Russian F Nth は追放される。

22. 輸送された陸軍は、少なくともひとつの輸送ルートが成功している場合、輸送先の領域にいるユニットによる、別の輸送ルートに必要な海軍に対する攻撃に対する支援を断ち切ることができる。これはルール21に優先する。

先程の例に加えて、

  • Russian A Nwy – Edi
  • Russian F Nth C Nwy – Edi
  • Russian F Nrg C Nwy – Edi
  • English F Edi S Yor – Nth
  • English F Yor – Nth

Russian F Nrg も Russian A Nwy の移動を輸送している。この場合、English F Edi の支援は断ち切られ、結果としてスタンドオフが発生する。

以上である。ルール12などは日本語に訳しにくく、実際に図面を見ながらでないと理解し難い。もし新しい発見があったなら幸いである。また、なにか間違いがあったら教えていただければありがたく思う。