人類学者、ベネディクト・アンダーソンが死んだ。インドネシア滞在中、ホテルでの死だったという。79歳だった。

アンダーソンとその著作『想像の共同体』については、このブログでも幾度か書いた。わたしの学術的生において、彼の著作は常にインスピレーションの源であった。ひとつは、しばしば見られる誤解についての記事。すなわち、アンダーソンはネーションの「想像のされ方」によってその特異性を描き出そうとしたが、「想像されたものだからフィクションにすぎない」という主張として通俗的に理解されてしまう場合がある。また、彼は必ずしもナショナリズムに対して必ずしも否定的なポジションを取っているわけではなかったが、そのようなものとして利用されてしまった。

吾々は単にナショナリズムを蒙昧として無視することなどできない。単にその虚構性を指摘するだけではそれが現に持っている現実的な諸力を無効化することにはならない。ネーションは近代国家を支える四本の足なのであり、それが提供する神話によって人々は団結されている─物語以外を通じて人々が団結することはできないのだ。

だから吾々は、日本についての語りをはじめなければならない─この点は、「日本について」という記事でも一度書いた。パルタ・チャタジーがインドで取った戦略を適用することはこの島国においては不可能だが、某かのオルタナティブな戦略を考えださなければならない。

ただ、現在は、冥福を祈るのみである。