離婚した妻の夢を見た。

彼女は大学の近くの小さな寮に部屋を借りて住んでいて、わたしは何か言い残したことがあって数年ぶりに彼女の元を訪れているのであった。
やあ、とわたしは言って、久しぶり、と彼女は返した。わたしは何か言わなければならないことがあるのだが、何故か言い出せずに、多愛がなくどうでもいい話をいくつかして、近況を聞いたり、話したりした。
ぱっと思いつく話題が途切れると、場を沈黙が支配した。ブウン、という静かな冷蔵庫の音と、かすかに聞こえる外からの喧騒だけがゆるやかに部屋に流れていた。

もう帰りなよ、と彼女はつぶやいた。
わたしはそれに抵抗することができずに外に出たが、まだすべきことをなしていない自分の足をさらに動かすことはできなかった。わたしは振り向いた。彼女はまだそこにいた。

「ごめんな」とわたしはついに言った。
「わたしは君の味方になりたかったんだ。でも、なれなかった。」
「ごめんな。」とわたしはもう一度言った。とめどなく涙が溢れていた。わたしはさらに何かを言おうとしたが、もはや出すことができるのは嗚咽だけだった。彼女はいつの間にかいなくなっていた。

そこで目覚めた。こちらの世界では、わたしはまだ泣いていなかった。
けれども現実にもう一度その台詞を言ってみると、またしてもどこからか大きな悲しみが押し寄せ、大粒の涙がわたしの顔中を濡らしはじめた。夢よりもずっと長い間、涙は溢れ続けた。何かの線が切れたかのように。

そうしてわたしの中で何かが流れ去っていった。